現役小児科医ママがおすすめする、親子でHappyな育児法!

小児科医ママかつNICUonline管理者の育児、診療日記です

赤ちゃんに障害が残る可能性を伝えるなければならない医者の心の痛み

どんなに人力を尽くしても、
どんなに医学が進歩しても、
 
やっぱりお産は命がけで、100パーセントの安全は歌えないし、
だから生きることは美しいんだけれど
 
誰も悪くなくても
重症仮死状態で生まれてくる赤ちゃんがいる
 
仮死から回復し、何もなかったかのように生きていく子もいれば
重度の後遺症を残す子もいる
 
現在は産科医療補償制度というのがあって、
その制度の目的は、ホームページ上によると
 
本制度は、分娩に関連して発症した重度脳性麻痺のお子様とその家族の経済的負担を速やかに補償するとともに、脳性麻痺発症の原因分析を行い、同じような事例の再発防止に資する情報を提供することなどにより、紛争の防止・早期解決および産科医療の質の向上を図ること
 
となっている。
補償対象になる重度の障害を残した赤ちゃんは
年によって差はあるけれど、1年に100人から400人くらいとの報告がある。
今の日本では、1年に100万人くらいの赤ちゃんが生まれているから
そういう赤ちゃんが毎年、1万人に一人くらいの割合でいることになる
 
日本では、
仮死で生まれた赤ちゃんは、すぐに
NICUに入って、たくさんの医療が施されるけれど、
急性期を抜けて、しばらく経つと、
そう、1ヶ月健診を迎える頃になると
最重症な子は、ある程度の予後の予測、つまり後遺症が残るかどうかの予測がつく。
 
急性期を抜けて、体についていた色々なチューブやモニターが少なくなる
なのに、1ヶ月経っても、哺乳ができない
1ヶ月経っても自分で呼吸ができない子もいる
 
そう、生きるか死ぬかの急性期を生き抜いて、
通常の成長発達が見込めないことが、
医療者側にわかってくると
 
その子がどうやって自宅に退院するか
今後、子供の成長に伴って障害がどう行った形で現れてくるか、
つまり、
ずっと自分で呼吸ができないかもしれないから、人工呼吸器が必要だとか、
食事ができないかもしれないから、ずっとチューブで栄養を取らなきゃならないとか、
首がすわる、おすわりする、立っちして歩行ができる、、、ようにならないだろうとか、
そういう、見通しを
両親に話さなければならない日がくる。
 
それは、小児科主治医には
とても苦しいお話で
回復を信じて寄り添ってきた両親にそれを告げることは
 
本当に辛い
両親に告げるのが辛いだけではなく
自分が主治医としてその子の回復を信じ、必死でサポートした結果も
気持ちの面で受け入れることが
とても辛い。
 
主治医になったお医者さんが、
毎日思い悩んでいた。
 
チーム医療で支えながら、
でも、その若者も
赤ちゃんの人生と
家族のの人生と
自分が受け入れられない事実に
 
泣いていた。
 
生きている限り、
人には前を向く方法が
必ずあるはずだから
 
 
赤ちゃんも家族も、生きていて良かったと思える日があることを
切に願う
 
 
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