現役小児科医ママがおすすめする、親子でHappyな育児法!

小児科医ママかつNICUonline管理者の育児、診療日記です

さ湯問題と育児〜今は『さ湯』はいらないと思うんだ

赤ちゃんの1ヶ月健診でよく聞かれることの一つに

『お風呂上がりの白湯は入りますか』

っていう質問がある。

 

答えは『入りません』

なんだけど、

赤ちゃんにとっては実はどっちでもいいので、

『いらないですけど、あげてもいいですよ〜』

と答えることがある。

 

ママたちのその質問の裏には

実家のお母さんが育児を手伝いながら(育児に口を出しながら、、、かもしれないけれど。笑)

お風呂上がりに『さ湯』をあげなきゃっていうんです。

とか、

それって正しいんでしょうか?的な

新米ママの気持ちが見え隠れもする

 

『さ湯』とは、簡単に言うと

お湯を十分沸騰させて冷ましたもので、

赤ちゃんの水分補給や、

大人でも薬を飲むときなどに昔は使ったものらしい。

今は、さ湯は体にいい、として、健康志向の女性の間で少しブームになったりもしている

 

『さ湯』を赤ちゃんや内服時に使った昔ながらの理由は、

昔は今のような整備された上水道ではなく、

飲み水も生活用水も井戸水だったし、

殺菌の意味を込めて十分沸騰させるっていうのはとても大事なことだったんだろう。

抵抗力の弱い赤ちゃんや、大人であっても薬を飲まなきゃならないくらい体が弱っている状態では

殺菌!という意味での沸騰はとても大切だったんだろう。

そして、冷たくも暑くもなく、体温程度のさ湯は

体への温度刺激がなく胃腸にはとても優しい。

 

現在では

水道水のカルキを抜いて口当たりや味をよくするっていう効果になる。

 

現在の日本の上水道

そのままの水道水で赤ちゃんのミルクを作っていいくらいな精度に管理されているし

わざわざ沸騰させなくても、感染の心配はまずない。

 

昔、医学部に在学中に、

医師国家試験を受けた男の先輩がこんなことを言っていた。

 

『国家試験にミスプリントがあったんだよ!

さ湯、って。ひらがなの『さ』っておかしくない?』

 

と。

医学部を卒業間近に控えた、男の先輩は

『さ湯』と言う単語を知らなかっただけで

『さ湯』って医療に必要ないし

医師とはいえ、若い男性がその単語を知らなくてもシカリだったなと

とも思う。

 

 

さ湯は、現代の日本にはいらないかもしれないけれど

赤ちゃんの体に害があるものでもないから

 

だから

おばあちゃんの知恵袋的に『さ湯』を進められたら

ママたちより数十年先輩のおばあちゃん達の人生に敬意を払って

『さ湯』を育児に取り入れてもいいんだろうな

 

って思うんだ。