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愛情遮断症候群、それってネグレクト?愛されないと背が伸びないの?想像以上に影響する両親の心

愛情遮断症候群という病名を知っているだろうか?
 
ネグレクト(無視)という一種の虐待を受けた子供や
両親がうつ病だったりして愛情を受けずに育つと、
背が伸びない、発達が遅れる、などの症状を示すという。
 
少し前にとても興味深い子供がいた。
3歳のその子は、4人兄弟の末っ子で、
上の子と同じように大切に育てられていた。
 
その子は全く食事を食べてくれなくて病院に通っていた。
食事が食べられなくなるような病気がないか
たくさんの検査が行われたけれど、なんの病気も見つからない。
 
でも食べない。
仕方ないから胃管というチューブを使用したり、かろうじて飲むミルクや母乳だけで3歳になった。
そのうち、飲んだミルクも嘔吐するようになった。
 
飢餓から脱水になり、入院。
子供を病院で預かる形での入院になった。
 
3年間、固形物を食べたことのないその子が
どうやって食事をするのか
気になった。
 
その子は点滴をしながら
入院して1週間ほどでゆっくりと自分から食事に手を伸ばし始めた。
初めはどうやって飲み込むのかわからない様子だったけど
少しずつ、そして1週間もしないうちに1食全部を食べられるようになった。
そして、嘔吐はしなかった。
 
悩んでいたお母さんはびっくりした。
私もびっくりした。
だって、今まで食べなかった理由も、入院してある日から食べた理由もわからなかったから
 
でも、入院というきっかけで
家族の抱えている問題が明らかになった。
 
お母さんは
自殺と離婚を考えていた。
4人の子供を抱えても、子育てを手伝ってくれないお父さんに絶望し
何度も本気で死にたいと考えていたと。
 
お父さんは
子育てを手伝わないのではなくて、
4人を育てるために自分が何とかして稼がないと、と必死で仕事をしていて
家庭を顧みる心の余裕がなかっただけだった。
子供が入院しても
ことの重大さに気づかずに、俺がお前たちのために必死で働いているのに、どうしてきちんと育てられないんだ!とお母さんを責めた。
 
お母さんとお父さんのそれぞれの本当の気持ちがわかったところで
3歳のその子は食べ始めた。
嘔吐もなくなった。
 
この夫婦のその後が分かり合えて幸せなものか、
それとも、
すれ違いから夫婦関係が壊れてしまうか
その先はわからない
 
でも
親が心の闇を抱えていることが
こんなにも子供に影響するなんて、
改めて驚愕だった。
 
愛情遮断症候群は
通常、健診で背が伸びないことからなどから気がつかれることが多い。
愛が足りないと背が伸びないというのが本当に切ない。
この症例は
お母さんもお父さんも子供は愛していたから
ちょっと違うかもしれないけれど
 
子供の健やかな成長に
親の心の状態が大切なことを
改めて振り返ったし
 
私は
世のお母さんたちが
安心して幸せを感じながら生きていけるように
情報提供をしたいと
 
そう思ったんだ。
 
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