現役小児科医ママがおすすめする、親子でHappyな育児法!

小児科医ママかつNICUonline管理者の育児、診療日記です

先の見通しの重要性 人は先が見えないとマイナス思考になる いつ退院できるの?は母を苦しめる呪いの言葉

ゴールが見えないと不安になる
というのは、
とても当たり前のことのように思えるけれど
その当たり前が
あまりにも身近で達成できていないことに気がついた。
 
子供が長く入院しているお母さんは
『いつ退院できるの?』
とおじいちゃんおばあちゃんや、友達から聞かれるのがとても苦痛のようだ。
心の中では
わかんないよ、私に聞かないでよ。
とか、わからない自分を責めてさえいるかもしれない
 
『わからない』
そう答えるしかないことと
いつ退院できるの?と聞かれることで
漠然とした“先の見通しの見えなさ”
が明るみに出て
不安になり
辛くなるんだと思う。
 
私はNICUで働いていたので
早産で生まれた小さな赤ちゃんが保育器に入って
その中で育っていく様子を
毎日毎日、診ていたから、
小さく生まれても
みんな元気に育って大きくなっていくことを
日常のように見ていて
それが当たり前に見えてしまう。
 
本来の出産予定日程度の体重と、
その程度の赤ちゃんになったら当たり前に退院できるし。
 
家族からしてみたら
妊娠半ばで
1000gにも満たない体重で生まれた赤ちゃんを初めて見たご両親からは、
『こんなに小さくて、大丈夫なんですか?』
と思うのは普通で、
『こんなに小さくて、ちゃんと育つんですか?』
と言うざっくりとした質問を受けることがよくあった。
 
私たちにとって、早産児が育って元気になることが当たり前でも、
お母さんは
子供を小さく産んでしまった!
と落胆して、
先の見えない日々を送っていたのかもしれない。
私は
気づいてあげていなかったかもしれない。
 
生まれて数日は急性期で
人工呼吸器や、たくさんの点滴、モニター、胃のチューブなど
身体中に管や装置がつけられて過ごす
急性期を超えると
安定して、未熟さがだんだんなくなって成熟してくるまで
じっくり育っていく。
 
お腹の中で育つのと
ほぼ同じスピードで。
 
1000gに満たないと
赤ちゃんの入院は3ヶ月以上になることもよくあるから
その長い入院生活の間
ご両親はいろんな思いを抱えるんだろう。
 
お友達から
おじいちゃんおばあちゃんから
 
『いつ退院できるの』
 
と言う言葉に
うまく答えられず
きっと辛かったに違いない。
 
人は、見通しが立つと安心するものだと思う
お産だって
あんなに激痛なのに
もうすぐ生まれる目標があるから頑張れる
 
受験だって、合格という目標と
合否というゴールがあるから
頑張れる
 
風邪の発熱で来院した患者さんに
風邪ですね。とだけ言うのと
風邪ですね、大きな病気ではないですけど、でも1週間くらいは咳や鼻水が続いてそれなりに辛いと思いますよ。
と見通しを立ててあげるのでは
 
気持ちに構えができる分、
幾分割り切って過ごせるのではないかと思う。
 
何事も見通し。
 
そう、授乳に悩むお母さんも、
こんなに夜中に起きるのも限られた時間でずっとは続かないこと
 
夜泣きに悩むお母さんも
オムツ外しに悩むお母さんも
 
いつ頃、こうなりますよ。という見通しを
小児科医の立場からそっと教えてあげたら、
 
もう少し日常が楽に過ごせるかもしれない。
 
 
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