赤ちゃんの乳児湿疹の話。アレルギーやアトピーが心配なお母さん。保湿の話も交えて。
乳児湿疹は体重がぐいぐい増えるようになってきた1ヶ月健診の頃から
ニキビに似た赤い発疹が顔を中心にたくさん出てきます。
赤ちゃんの気にあるケアの上位に食い込む
あまりにも有名な発疹で
と言うか、乳児湿疹が出ない子の方が少ない、と言うくらい
日本の赤ちゃんにはメジャーな発疹です。
こんな感じは軽い乳児湿疹で
増えてくるとこんな感じになって
首や頭、胸や背中まで広がってきます。
日本の気候では
ほとんどの子が乳児湿疹を経験しますので
1ヶ月健診での質問ランキング上位食い込みます。
大抵、ネットで調べたお母さんは
『これは乳児湿疹ですか?』
『アトピーじゃないですか?』
『私の食べたものが母乳中に出て、アレルギーを起こしたんじゃないですか?』
などの質問が多いです。
ツルツルの赤ちゃんのお肌にブツブツ湿疹が出始めたら
顔で目立ちますし
気になっちゃいますよね。
湿疹⇨アトピー?アレルギー?
ってのが不安要素の大半になってきます。
ひどくなると
こんな風になってきます
乳児湿疹の原因は
皮脂分泌の盛んな時期に
赤ちゃん本人の皮膚から出た余分な皮脂や、その他の汚れ(汗やよだれなど)が
皮膚にずっと留まることによって、起こります。
なので、
乳児湿疹の治療の基本は
しっかりと洗ってあげることによって良くなります。
軽い皮脂や汚れなら沐浴のお湯程度で落とすことができますが、
皮脂が多い赤ちゃんの場合には、石鹸を使ってしっかり洗わないと
皮脂と混ざった汚れは洗い流せません。
多くの小児科の先生は
軽い乳児湿疹に関しては
通常、赤ちゃんが生理的に皮脂分泌が多い時期に出て
皮脂をしっかり洗い流すことによって改善する生理的なもの、
程度の考えなので
多くの小児科の先生はしっかり洗いましょうとお話しして
軟膏などのお薬は出さないことも多いのです。
一方で、
乳児湿疹もひどくなってくると、乳児湿疹の下に炎症が起きてきて
ただれてしまったり、違うタイプの湿疹に変化してくることがあります。
とすると、小児科を受診して、外用薬の出番です。
洗う、と言う基本の治療に加えて
多くは弱いステロイド剤が処方されます。
この際のキーワードの
①ステロイド剤
②赤ちゃん
③顔
この3つのワードの組み合わせは
お母さん方の心配をあおるようで
ステロイド=なんか怖い
顔に塗っていいの?目の近くでもいいの?
まだ赤ちゃんでも使えるの?
などの疑問が湧いてきます。
患者さんのうち、多くは、
この不安因子のために、恐る恐る塗るために、使用量がかなり少量になってしまったり、
回数も少なくなりがちです。
小児科の医者出すものは
弱いステロイドでも
赤ちゃんの顔に塗って大丈夫ですので、
きちんと使わないといけないんです。
使用量は以下を参考にしてください。
新生児の顔だったら大人の手のひら両手分くらいのサイズなので、上の図のような軟膏の量になりますね。
また、新生児期をすぎて、よだれが多くなってきた時期の口周りのかぶれに関しては
取れやすいので、何度も薬剤を塗布しましょうと推奨されたりもします。
そう
大事なのは、
こわごわステロイドを使用するために、使用量と使用回数が少ないことによって
治りが悪くなることを避けたいのです。
きっちりかっちりの方が
結局は短期間で治るという仕組みになります。
アトピーかどうかに関しては
現段階では乳児湿疹とアトピーと直接の関連はありません。
ただし、重度のアトピーの子供達の過去を振り返ってみると、生まれながらにして皮膚トラブルが多くて、乳児湿疹も苦労したなぁ、なんて子もいます。
乳児湿疹は軽かれ重かれみんなが経験する湿疹、
で、そのうちアトピーの子もいるってな内訳になります。
繰り返しますが、
1ヶ月健診くらいの時期の乳児湿疹とアトピーは関連はありません。
さて。
ここで、ちょっと関連した保湿のお話をします。
ここ最近は、せっせと赤ちゃんに保湿を行うお母さんが多いなぁと思います。
乳児湿疹の時期の保湿は石鹸でのケア後の保湿が基本になります。
数年前に、日本の研究で、
アレルギーのリスクのある赤ちゃんに一律みんなに保湿したら
のちのアトピーが少なくなったという研究があったので、
その影響で世の中がそンな流れなのでしょうか?
極端な言い方をしたら、
湿度や気候が一定だったり、
それに応じた
赤ちゃん自身の皮脂分泌と、
沐浴などにより、外から汚れを落とすことのバランスがあっていて
皮膚のバリア機能が十分保たれていたら、
個人的には保湿は不要なんだと思います。
皮脂分泌がすごく盛んな時期に
しっかり洗顔が治療にはなりますが、
しっかり洗顔しすぎて皮脂を取りすぎてしまうことによって、
皮膚のバリア機能が下がってしまうことがありますので、そんな時には保湿が必要になります。
バリア機能が下がった皮膚、まあ、言ってしまえば、弱くて敏感肌みたいなイメージですね。
『バリア機能が下がった皮膚』=『弱くて敏感肌』
そうなってしまうと、いろんなトラブルが出てきます。
それを避けるのが保湿になります。
一律保湿ではありません。
赤ちゃんは
生まれてすぐは比較的乾燥肌な子も多く、
1ヶ月健診から2ヶ月は皮脂が多い子が多く、
それも、季節や天気によって、また、おでこやほっぺなどの部位によってもお肌の調子は違います。
我が子のお肌の変化を1日1日しっかり見てあげましょう。
一律保湿ではなく
我が子の皮膚の状態を毎日見た上で、必要に応じた保湿が、いいんではないかなと個人的には思います。
赤ちゃんの肌質も環境も
みんな一人一人違うんですから。
#ステロイド #軟膏