現役小児科医ママがおすすめする、親子でHappyな育児法!

小児科医ママかつNICUonline管理者の育児、診療日記です

本当は深い沐浴の話

 
出産前の準備品の項目に、
ベビーバスやベビーソープ
沐浴に使うガーゼ
なんてものがあって
ベビー洋品売り場には
なんとも可愛らしい小さなお風呂用品が並んでいます
 
産婦人科を退院する前には
沐浴指導、なんて項目があったりして、新米ママたちが集まって人形やモデルベビーで赤ちゃんのお風呂の入れ方の講義を受けます。
 
沐浴は育児のメインイベントの一つで
絶対にやらなければならないことの一つのように感じますが、
赤ちゃんの扱いに慣れていない新米ママさんには
楽しみのようで、ちょっと怖い作業の一つでもあります。
 
私も、最初の子の時には、
折りたたみ式の沐浴槽を購入し、
ベビー用のガーゼなんかも用意ちゃって、
退院後の初めての沐浴当日は
私はビデオカメラを構え、
義理の祖父母、いとこ兄弟、飼っていたペットの犬までが所狭しと見学し、
新米パパとなった旦那が、あーでもない、こーでもない言いながら、ガヤガヤ楽しく入れたのを覚えています。
 
さて、沐浴の本来の目的はなんだったでしょう。
それは、何と言っても、
 赤ちゃんを綺麗にすること!
です。
 
つまり、赤ちゃんの汚れを落とすんです。
汚れって何かっていうと、
汗や皮脂、垢、よだれ、口からダラッと首まで垂れた逸乳や、空気中の誇り、
拭いたとしてもうっすらついている尿や便の成分を
しっかりと落とすってことです。
 
しっかりと汚れを落とさないと、
乳児湿疹や、かぶれ、オムツかぶれ、あせもなんかの
皮膚トラブルの原因になります。
激しいことを言うと、
後々にはアトピー性皮膚炎や食物アレルギーなどの二次的な弊害も検討しなければなりません。
 
ってなわけで、
ママさんたちは出産病院や母親学級で習ったように
沐浴をしようとするわけです。
 
ママたちの気持ちを学ぶために、自分の病院の沐浴指導を覗いて見ました。
 
助産師さんがモデルベビーでいかにも簡単そうに
沐浴の仕方を流暢に喋っています。
ママたちは真剣な顔で、中にはメモを取りながらお風呂の入れ方を学んでいます。
 
私が、小児科医だからでしょうか?ちょっと不思議な光景に見えてました。
赤ちゃんの体を綺麗にする。
その目的だけを考えたら、
自分が入浴したり、シャワーを浴びたりすることから応用して、どうしたらいいのかママ流にやったらもう少し気が楽だと思うんですよね。
 
指導担当になった助産師さんは
声を高らかに
『沐浴で一番大切なことはなんでしょう?
それは赤ちゃんをお湯の中に落とさないことです。』
と言っていました。
 
私は、ちょっとクスっと笑ってしまったのは失礼だったかもしれません。
だって、みんな、真剣です。
 
そして、体を洗う順番や、用意するものについて、メモを取りながら真剣に聞いて言いました。
 
お湯に赤ちゃんを落としちゃダメなんて、習わなくたって、わかるでしょうに!
とツッコミたくなりましたが、
真剣なママたちを笑っちゃいけません。
とても微笑ましかったのですが、もう少し方の力を抜いて育児に備えてほしいと感じました。
 
誰だって冷静に考えたら、
生まれたばかりの赤ちゃんをお湯に落としたら大変!ですよね。
当たり前のことなのに、習ったこととして固くなるからママたちは大変です。
 
泡泡いっぱいになった赤ちゃんはツルツル滑ります。
落っこちそうになります。
通常であれば、母が自分で落とさないように工夫するでしょう。
バスマットの上で泡をつけてあげるもよし。
便利グッズを利用するもよし。
慣れるまで、実家に帰ってサポートを得るもよし。
 
習ったやり方が全てではありませんね。
 
私が考える本当に必要な医学アドバイス
体が小さい赤ちゃんの特性上、温まりやすく冷えやすいので、
大人のように長湯をしないこと
濡れたままほっておいて、体を冷やさないこと
おへその消毒は不要であること
程度です。
 
それ以外はママの応用で自由な入浴でいいでしょう。
洗う順番が習ったやり方と違ったからと言って、赤ちゃんに弊害はありません。
洗い方がガーゼであったり、ママの素手であったり、スポンジであったり
ママが一番綺麗にできるやりやすいやり方でいいでしょう。(大人のナイロンタオルでゴシゴシこするのは結構痛いのでやめましょうね。って、やらないか。)
個人的には素手に泡で出てくるポンプ式のソープで洗うのがオススメです。
 
医者としてぶっちゃけると
日本の上水道はとても綺麗です。
現に、赤ちゃんのミルクだって、水道水で作るように推奨されているでしょう。
それが原因で感染症を起こすような菌は混ざっていませんし、
その他の有機物、無機物、味、匂い、色に至るまで、厳しい基準がもうけられています。
 
なので、毎日取り替えたお水のお風呂に入っているご家庭では
基本的に沐浴だろうが、浴槽だろうが、いいって事になりますね。
ここまでくると、沐浴自体が必要なくて、入浴できればいい事になっちゃいます。
 
さて、
帰りの遅い旦那を待っていてはお風呂に入る時間に制限がかかります。
実際に一人目を一人でお風呂に入れた事について、小児科医ママの実践編です。
 
困った話
面白い話
良き思い出として、
皆さんの赤ちゃんのお風呂が楽になればと思います。
 
自分が体や髪を洗っている間に、赤ちゃんをどうしておくか問題です。
赤ちゃんが寝ている時間に入る。
 まだ生活リズムのつかない赤ちゃんはなかなか、ここぞというときに寝てくれません。
 そして、そういう時に限って、背中スイッチが作動します。
 つまり、抱っこしてれば寝てるのに、ベットに下ろすと起きるスイッチというやつです。
脱衣場に放置する。
 時折、泣く。泣かれたら、ほっておける精神力が私にはありませんでした。
洗い場に放置する。
 洗い場だと、私のシャワーの水しぶきが飛んでかかる。
市販の「スイマーバ(swimava)」を利用する。
 目を離した隙に顎が外れて溺れるリスクがあるので、常に見ながらシャワーを済ませる。
 入浴中の事故として、消費者庁国民生活センターが使用に関して注意喚起が出たので
 「スイマーバ(swimava)」を使う事自体、悪い事だと捉えがちですが、
  要は溺れないように目を離さなきゃいいわけです。
 あれに乗ってる赤ちゃんはとっても可愛いですからね。
浴槽内にうんち
 しばらく毎日やられました。
 裸になって開放感たっぷりだと、気持ち良くなって出てしまうようです。
 体を洗うとか、あったまるとか、そういうの、シャワーでささっと済ませるしかなくなります。
 赤ちゃんのために浴槽洗って、お湯を変えて、わざわざ用意した一番風呂。
 うんち一発のたびにがっかりでしたが、あまりに繰り返されて、もはや笑い話です。
首も座って、支えれば座れる頃になるとバンボに乗せて浴室内に連れて行き、私のシャワー中は待ってもらいました。
 動きたい一心の娘はバンボごと転ぶってのを繰り返していました。
夏は裸で待たせてもどってことなかったのですが、
冬場は冷えます。
すごく危険だけど、浴槽の蓋の上に服のまま置いておいて、
浴槽内にドボン。。。ってな事件が3回。
落ちたのがお湯の中で、溺れる前に引き上げたから幸い。
懲りない私です。とっても危険なので真似しないでください。
落ちたのが洗い場で、打ち所が悪ければ、怖い話です。
 
そんな日常に追われながら
二人目問題が生じました。
つまり、まだ一人じゃ入れないお姉ちゃんをお風呂に入れるとき、生まれたばかりの赤ちゃんをどうしておくか。それこそ、もう一人の大人の協力があったらなぁと思いました。
一人目の時は深夜帰りの旦那さんを待つ手もありますが。
二人目の時は、お姉ちゃんは翌日保育園や幼稚園に行かなきゃいけないとか、
上の子の寝る時間も決まって生活リズムの問題もありますので、そうそう夜中のお風呂ってわけにはいきません。
 
服のまま赤ちゃんを抱っこして上のこのお風呂に付き合ったら、もれなく私も赤ちゃんもビシャビシャです。
結局、膝の上に新生児を乗せたり、
バスマットに寝かせたりしながら、
上の子を洗います。
 
下の子はしぶきがかかりますが、まあ、どってことないです。
下は強い、とか雑に育つとはよく言ったもので、
赤ちゃんの頃から、お姉ちゃんに頭からお湯をバシャッと豪快にかけらたり、
私も私で目や口に石鹸が入ることも気にせず、豪快に顔を洗われても
ニコニコ喜んでいました。
 
 
2週間健診や1ヶ月健診で沐浴の質問の何と言ってもトップは
 いつから大人と一緒のお風呂に入れますか?
 沐浴の時間帯
です。
私たち、健診を行う方の医療者としては、
説明することのトップ3として
 1ヶ月から大人と同じお風呂に入っていいこと
 乳児湿疹の最大の治療はお風呂で石鹸で洗うこと
 沐浴後の白湯はいらないこと
でしょうか。
 
時々、沐浴は夫の仕事、と話す患者さんたちがいます。
その考え方の元々の由来は
出産後の女性は体を冷やさないように水仕事を避けるようにされていました。
それは現在のようにひねればお湯が出る時代ではなく、洗濯が手洗いで手間もかかり、お水も井戸水や川であった時代の話です。
お風呂は薪であったり、屋外でした。
昔ながらの日本家屋は風通しの良い構造をしていまsチア。
そんな時代背景では、赤ちゃんのお風呂が体を冷やす行為として産後の女性の体の回復に影響を与えていたわけです。
現在はどうでしょう。
大抵の日本のお家は冷暖房設備がしっかりしています。
マンション等にお住まいの方は、密閉度も高く隙間風に悩まされたりはないでしょう。
家屋の構造も変わり、赤ちゃんや産後の女性の体の冷えにそうそう敏感にならなくてもいい世の中になっています。
現代社会では、それと引き換えに、核家族が増え、家族の人数が減り、赤ちゃんのお世話を手助けしてくれる手が足りません。
昔と今の違いを考えながら、そして、昔ながらの理由
 
世界のお風呂事情が気になって、
国際色豊かな1ヶ月健診で聞いて見ました。
 
大抵、暖かい地域の途上国の方達は浴槽に浸かる習慣がありません。
ベビーのうちは洗面器にお湯を張って洗いやすさを工夫する程度だそうです。
ベトナムやフィリピンのママたちはベビーバス的なのはあるけど、シャワーが主流かなと言っていました。
中国の福建省出身のママなんて
地元には温泉がたくさんあるから、地元の赤ちゃんは生まれてすぐから温泉に入るのよーなんて言ってる方もいました。
ニューヨークの赤ちゃんはシャワーだそうで
ナイジェリアのママはベビーバス的なのでバシャバシャお湯をかけて終了。だそうです。
 
日本人のように丁寧に隅から隅まで洗う国は少ないんだろうなって思ったり。
独身の頃、旅行した紅海周辺のエジプトではシャワーは海水だったし、
そこの赤ちゃんは海水入りのシャワーで体を洗うんっだろうなとか、
想像すると楽しくなります。
 
日本に住んでいるお母さんたちに、出身のお国のやり方を取り入れながら育児をすることを進めても
日本式がいいと、みんな口を揃えて言っていました。
日本は非常に几帳面で細かくて
それに縛られると、苦しくなっちゃうお母さんもいるでしょう。
 
でも、本当の目的を見失わないようにすると、
一辺倒でない育児ができて
肩の力が抜ける気がします。
 
ベビーはベビーバスに入るもの。
という先入観があった小児科医ママですが
第2子の初めてのお風呂に用意したベビーバスには、
赤ちゃんが服を脱いでいる隙に
4歳の上の子が楽しそうに、ベビーバスに浸かっていて、
真っ裸の私と生まれて1週間も経っていない赤ちゃんだった弟は
苦笑しながら
大人の湯船に浸かりました。
 
 
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