現役小児科医ママがおすすめする、親子でHappyな育児法!

小児科医ママかつNICUonline管理者の育児、診療日記です

子供に自分の人生をやり直しを投影してしまうこと。

親の夢を子供に託す
なんてことはよくある話だと思います
 
スポーツ選手になりたかったけど、夢叶わなかったから、我が子にはなってほしいとか。
例えばバレリーナになりたかったけど、なれなかったから、我が子にはバレーを頑張ってほしいとか。
親自身は、第一希望の大学(例えば東大とか)に入れなかったから、我が子は入れたい、とか。
私に関しては、私はスポーツが苦手な子供だったので、我が子はスポーツが得意な子にしたくて、必死になったり。
 
一方で、
それがいいとか悪いとかは別として
自分が育ってきたのと同じように、我が子を育ててしまいがちです。
 
私は公立の学校でずっと学んできたから、
私立の学校は嫌だなとか
どの選択肢を選ぶのも
日々の生活や、習い事が
本当に娘にとって良いことなのか、
よりも、
私がどういう子供にしたいか
ということに
どうしても重点が行ってしまいます。
 
まるで、自分の人生を
娘にやり直しさせてるような
そんな気分で、
そんな風にしてしまう自分にいい気持ちがしません。
 
幼少期に虐待を受けて施設で育った女性が母になりました。
そのかたは我が子に虐待をしてしまいそうで、怖くてならないと話していました。
いつも私の外来に抱えている不安を話に来てくれます。
 
虐待は連鎖すると言われています。
医学的には、
過去に虐待を受けたことがある人は、親になった時に虐待をしてしまうハイリスクに分類されます。
 
あんなに辛かったことを
愛する我が子にしてしまいそうで怖いと
いうお母さんに
本当の意味で気持ちが寄り添えているかはわかりません。
 
不安を言葉にすることで、
悪い過去から前を向いて立ち上がってほしいと思いました。
 
親の不安というひとくくりで考えたら
 
本当の子供の気持ちにがわからない自分自身と
なんとなく重なりました。
 
 
もっと自由にお友達と遊ぶ時間を大切にしてほしいのに
習い事やお勉強で埋まった娘の忙しいスケジュールを見ると
胸が詰まります。

算数の問題。大根を4本食べましたって、蛇が5匹やってきました。って一体。

算数の苦手な小学生の娘に
母としては四苦八苦の上
インターネットでから無料のプリント問題を印刷して
やらせてみたんだけど、
 
とても、楽しい時間になりました。
 
お母さんが大根を7本買ってきました。
そのうち4本食べました。
残りは何本でしょうか?
 
大根4本も食べたお母さんのことが気になってしまって
もう、笑いが止まりません。
 
ヘビが2匹いました。
そこにあと5匹やってきました。
ヘビは全部で何匹でしょうか?
 
ヘビが5匹やってくるシチュエーションって、、、
日本じゃ考えられなない?
ニョロニョロだよねっと
 
これも娘と笑って笑って。
 
もう少し現実的な計算問題にしたほうがいいような、
楽しく学べるならそれもいいような
 
楽しいお勉強になりました。
 
 
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どこでそのお魚釣ってきたの?

料理男子のうちの3歳は
ママがキッチンに立つと、
小さな踏み台を自分で持ってきて
ママを眺めている。
 
お魚を料理するときは
いつも決まって
 
「ママ、そのお魚、どこで釣ってきたの?」
「どうやってとってきたの?」
 
と聞いてくる。
 
思わず
「海でとってきたんだよ。」
と返してみたら
「どうやってとったの?網とか魚とるやつ、ないよ」
ときた。
 
私は
「泳いでとってきたんだよ。ご飯にされちゃうから、魚も逃げるし、大変だったんだよー」
 
3歳は目をキラキラさせながら
「僕も一緒に捕まえたかったなー
 次は一緒に行こうね」
と言っていた。
 
夕飯に魚を出すと
いつも魚釣りに連れてってもらえなかった!と大騒ぎになるので
しばらく悩ましいと思う。
 
後ろの方で、お姉ちゃんがクスクス笑っていた
 
 
#料理男子 #夕飯のおかず #魚つり #子供の素朴な疑問 #3歳の男の子
#ほのぼのする話

子供の愛し方 僕を見てアピールが過剰な子供を見て思うこと

親が子供を愛するのは当たり前のように見えて
とても深くて難しいことです。
 
ただ、ありのままの子供を受け入れて
抱きしめて大好きだよ。というだけのことなのですが
 
私がみた患者さんたちや
私自身を考えてみても
とても難しいことなんだなぁと思います。
 
最近、外来で出会った子は
僕を見て!と全身で表現しているように見えました。
もう小学生でしたが、
落ち着いて椅子に座れず、
診察室を何度も抜け出して
病院中でおいかけっこを繰り広げました。
診察室内では、触ってはいけなさそうなものを選んでいたずらをしていました。
母親が言葉で止めようとすると、院内にあちこち唾を吐き、大人たちを引っかきました。
 
抜け出して走り回る子供を
看護師さんが必死で追いかけていましたが、
本当は
大好きなお母さんに追いかけて欲しかったんだと思います。
何かを壊したり、触ってはいけないものを制止も聞かずに触ろうとするのは
怒られることで、お母さんや他の大人達の関心を自分に向けようと必死だったように感じました。
 
お母様は思い通りにならない我が子に
落胆し自分自身に自身を喪失し
悪さをする子供を静かに見守っている様子に見えました。
どうしていうことが聞けないの?
他の子はみんなできるのに。
というお母さんの声を聞いても
僕はこうしたいのに、そしてお母さんにそれを見て欲しいのに、どうして止めるの?と言っているかのように思われました。
 
小さい頃のその子は
言葉や運動の発達が遅く、
コミュニケーションが苦手で
発達障害の可能性を考えさせられる子供でした。
 
お母様は理想の我が子でないこととのギャップに苦しんでおられましたが
理想通りの我が子に育てようとして
まだ、子供が言葉で『ママ』も言えない頃から
数多くの習い事やお稽古を始め
お受験に備えてらっしゃいました。
 
現在は小学生になりましたが
ひらがながわからず、
ひらがな練習の宿題に毎日3時間を費やしているんだと
お話しておりました。
 
お母様は
きっと、自分の理想通りの我が子を育てたくて
ご自身の理想像に沿うように必死で頑張っておられます。
でも、実際のその子は
ママの思う僕は違う僕だよ!本当の僕を見てよ!と
全身で訴えているように見えます。
 
ママは僕を愛しているよ
僕を見ているよ。
という
愛され体験と
僕のやったことが褒められるという成功体験を
 
叱咤激励されて、何時間もかかる学校のお勉強よりも
優先させて欲しいと思いました。
 
僕のできることから
僕ができそうなことから
取り掛かってとにかく褒めて欲しいと思います。
 
それは綺麗事で自分自身の理想を変えるのは大変なことだと思います。
ただ、
このままでは母子ともに辛い道を歩いているようで
なんとか二人が歩み寄れないかと
そう思うんです。
 
『学校でお友達ができたんだよ!』
それでもいいかもしれません。
『新しいお友達ができたのね!ママはそれがすごく嬉しいよ』と
抱きしめて褒めてあげるといいかもしれません。
 
学校のみんなにお勉強の足並みを揃えることは
今、必要なことではないように思われます。
 
毎日楽しく過ごして、
ママが僕を大好きだから安心だと思って欲しいと思いました。
 
お母さんの苦しみに寄り添ったら
子供の愛し方がわかるかなぁと思い
 
自宅に帰ったら
我が子をどうやって愛するか考えてみようと思います。
 
 
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保育園、幼稚園からの感染症流行のお知らせの通知をどう考えるか?ヒトメタニューモウイルスについて。

息子が風邪をひいたらしく、夜にしつこい咳をしていた。
小さな子供ってのはよく風邪をひく生き物なので、
保育園、幼稚園には
鼻が垂れた子や多少の咳が出る子は珍しくない。
 
個人的には
下の子が風邪をひくと
 うーん、熱出すかな?
 もし熱を出したら、保育園行けないし、私の仕事の休みの調整どうしようかな?
 上の子に移るかな?
 子供たちの習い事の調整どうしようかな。
 週末の予定、キャンセルかな?
 
などと、母親は多数のことに頭を巡らせることになる。
 
息子の咳が気になるなって思った翌日、
保育園の掲示板に
『ヒトメタニューモウイルス』が発生しました。
掲示があった。
『ヒトメタニューモウイルス』
迅速診断ができるようになったのはこの数年で
一般的には聞き慣れないウイルスかもしれない。
 
みんな、どう思うんだろうか?
この掲示の意味することはなんだろう。
保護者に何を伝えたいんだろうか。
など、余計なことを考えてしまった。
 
保護者的な第一印象は、聞き慣れないウイルスだと、なんか怖い。
我が子がかかったらどうしよう。
と心配になるんじゃないかなぁと
小児科医母としては、とてもお節介な気持ちになる。
 
保育園の掲示を独断と偏見を持って解説してみよう。
  
  
 
年少さんのクラスでヒトメタニューモウイルスが発生しました!!!
 周りの子には移る可能性があります。
 今、風邪症状がある子はヒトメタニューモウイルス感染の可能性があります。
 年少さんクラスの基礎疾患のない普段元気な子は、数日の発熱と咳、鼻水の経過をたどるでしょう。
 基礎疾患のある子は、肺炎などになる可能性があるので、注意しましょう。
0歳児クラスのお友達は、しつこい咳やゼイゼイがあるときは早めに病院に行きましょう。
年少、年中、年長クラスのお友達は、軽い風邪程度で済むことが多いでしょう。
 
ヒトメタニューモウイルスは、大まかにはちょっと長めの風邪程度の感じです。
小さい頃から、何度もかかるウイルスなのですが、
何度もかかるうちにだんだんと症状が軽くなります。
 
それに従って、我が家の生活に照らし合わせてみまっした
 
3歳の下の子は基礎疾患に喘息があるけど、最近発作もないし、体力もついてきたから
比較的早く治るな。抗生物質の内服はヒトメタニューモウイルスには効かないから必要ないな。
7歳の上の子には移っても、7歳は大したことないだろうし、
流石に発熱して学校休むような事態にはならないだろうな。
明日の仕事を休む手配はいらない可能性が高いな。
週末の友達との約束はキャンセルしなくていいな。
でも、乳児や高齢者は要注意だから
0歳のいとこの家や、88歳のひいおばあちゃん家にに遊びに行く予定はキャンセルしておこう。
ってな感じになります。
 
 
母親的には、
我が子がかかったら、どうなるかってのと
実際の実生活に即した対応の仕方が気になると思うので、
 
今日は例を上げてみました。
 
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子供が具合が悪くて保育園から電話が来た時の話

保育園から職場に電話
「お子さんが下痢をしているので、迎えに来てください」
 
働くお母さんなら、ガーンと思う瞬間
 
仕方がないから
職場の周りに頭を下げて
我が子の迎えに急ぐ
 
保育園の扉を開けると、
めっちゃ元気な息子が
早お迎え、ヤッタァ!と飛びかかってきた。。。
 
ニコニコ笑顔のこの子の、一体どこが具合が悪いんだ。
と内心思いながら、
 
保育士さんにも頭を下げる。
ありがとうございました。と。
 
「下痢をしているので小児科に連れてってくださいね。」
と保育士さんに言われるんだけれど
 
私には病院に行くのは非常にハードルが高い。
 
保育園側の主張ももちろんわかる
今は元気でも、これから具合が悪くなったら心配。
他の子に移る病気かもしれないから心配。
 
いやしかし、、、
 
母親が小児科医なのに他のクリニックに連れてったら
(しかもこんな元気な子を)
何しにきたの?って思われるだろうし
この感じの下痢の子が
仮に私の外来に来たとしても、
ロタウイルスだとか、ノロウイルスだとか、細菌性腸炎だとか、そーゆー系は疑わしくないから、全身状態が悪くないこと確認したら、
腸炎ですねって言って
整腸剤なんかを処方して帰宅。
ってなるだろうし。
 
保育園側もやりにくいだろう
私はあくまで園児のお母さんであって、お医者さんじゃない。
 
普通の母親が
『病院に行ったらただの風邪ですって言われました』って言うのと
小児科医の母親が
『この子はただの風邪です』
って言うのでは
前者の方がずっとずっと信頼性が高いようで
 
まじ、私、白衣着てないとお医者さんではないんだな。
とやりにくい気分になるし
保育園側もやりにくいだろうけど
 
この場では
お母さんなんだから、
まあ、仕方ないんだろう。
 
 
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ちょっと長いおしゃぶり論 おしゃぶりをする赤ちゃんは可愛いけれど、泣き止むとか、虫歯とかどう考えたらいいものか

こんにちは
今日はおしゃぶりの話をしましょうね。
 
おしゃぶりが、いいとか悪いとか、ネット上で情報も錯綜しているし、
おしゃぶりをしている赤ちゃんを見ると、なんとも不思議な感覚になる小児科医として、
ちょっとおしゃぶりについて調べてまとめてみました。
 
おしゃぶりの使用についての結論は
 『有益性投与』です。
 
どういうことかっていうと、
『使うと悪影響があるかもしれないが、それを使わないことによるデメリットを考えれば、使ったほうが有益だ』ってことです。
 
つまり
おしゃぶりは、基本はいらないけれど、もし使うなら、
『メリットを生かしつつ、デメリットをできるだけ抑えて使用する』のがいいということになりますね。
 
では、いわゆるおしゃぶりの利点と欠点について、一つずつ検証してみましょうか。
 
★おしゃぶりの利点と世に言われていること
メリット①赤ちゃんの精神安定作用(ホント)
     寝つきが良くなる?(ホント)
     泣き止む?(ホント)
     グズったときに治る?(ホント)
メリット②乳幼児突然死症候群SIDS)の予防になる?(ホント)
メリット③鼻呼吸が促進される(口呼吸の予防になる)?(嘘)
メリット④舌や顎の発達が促進される?(嘘)
 
★おしゃぶりの欠点
デメリット①歯並びが悪くなる?(使い方によってはホント)
      出っ歯になる?(使い方によってはホント)
      虫歯になる?(使い方によってはホント)
      開咬になる?(使い方によってはホント)
デメリット②衛生面で気になる?(人による)
デメリット③母乳育児に悪影響?(ホント)
デメリット④親子のふれあいが減る?(ほとんどは嘘)
      子供がどうして泣いているのか考えないで使用する(人による)
      あやすのが減る、言葉かけが減る(人による)
      発語の機会が減る(嘘)
 
さて各論
メリット①赤ちゃんの精神安定作用、寝つきが良くなる?、泣き止む?、グズったときに治る?
まずはこれはおよそ合っていそうですね。
おしゃぶりだけでなく、指しゃぶりも総合して考えると、
赤ちゃんは胎内にいる時から指をしゃぶる動作が見られます。
それは発達上もとても自然な行為です。指を口に入れて吸うのは、通常7〜9割くらいの赤ちゃんに見られます。
その頻度は4〜5歳までで自然となくなって落ち着きます。
つまり、赤ちゃんは落ち着くので、自然と寝つきが良くなったり、ぐずりが減ったりしますね。
 
メリット②乳幼児突然死症候群(SIDS)の予防になる?
2011年にアメリカ小児科学会が昼寝や就寝時におしゃぶりを使用するとSIDSの予防効果があると勧告を出しました。メカニズムはまだ不明ですが、研究調査によると、おしゃぶりでSIDSの発症の確率が抑えられる結果のようです。おしゃぶりが口から落ちても予防効果が持続するそうで、
私の印象ではなんとも不思議な結果です。
 
この話は前回のSIDSの項目で書いた母乳育児の項目と矛盾するんです。
 おしゃぶりは母乳育児には幾分悪影響です。
 母乳育児はSIDSを予防します。
 おしゃぶりはSIDSを予防します。
変な三角関係ですね。
 
ちなみに、ラクテーションコンサルタント協会という、世界的な母乳育児推進団体では
母乳育児をするにあたり、おしゃぶりはできるだけ避けたいもので、
アメリカ小児科学会のこの勧告に異論を唱えています。
 
現実的には出産直後におしゃぶりを使用すると、乳頭混乱を起こしてしまうため、生後2ヶ月以降から使用してみるようにしてください。寝ている間におしゃぶりが外れてし合った時は、無理に口に戻さず外したままにしておくようにしましょう。
なんて、言われていますね。
 
次。
メリット③鼻呼吸が促進される(口呼吸の予防になる)?(嘘)
メリット④舌や顎の発達が促進される?(嘘)
についてはどうでしょうか。
おしゃぶりの商品パッケージに印刷されていますね。
鼻呼吸の促進や、顔の発達の促進するという、医学的根拠は調べても調べても見つかりませんでした。
おしゃぶりを売りたい側や正当化したい側の意見なんでしょうね。
 
ところで、おしゃぶりと対比されるのが指しゃぶりです。
が、
指しゃぶりの方が、統計学的には長く続くとされています。
2歳くらいまでの指しゃぶりは、比較的許容される世の中ですが、
3歳くらいになってオムツが取れる時期になると、恥ずかしいとか、人目が気になったり、
幼稚園入園に当たって気になってくる時期ですね。
 
では
おしゃぶりの欠点ですが、
 
デメリット①歯並びが悪くなる?(使い方によってはホント)
      出っ歯になる?(使い方によってはホント)
      虫歯になる?(使い方によってはホント)
      開咬になる?(使い方によってはホント)
デメリット②衛生面で気になる?(人による)
デメリット③母乳育児に悪影響?(ホント)
デメリット④親子のふれあいが減る?(ほとんどは嘘)
      子供がどうして泣いているのか考えないで使用する(人による)
      あやすのが減る、言葉かけが減る(人による)
      発語の機会が減る(嘘)
デメリット⑤中耳炎が増える(まあまあホント)
 
デメリット①歯並びが悪くなる、出っ歯、虫歯、開咬
について
 
出っ歯について、歯科用語では上顎前突と言うようですが、おしゃぶりで優位に出っ歯になるようです。
開咬というのは、「イー」の口をした時に、前歯の上下の間に隙間ができてしまう状態を言うようですが、
これもおしゃぶりとの間に優位に相関があるようです。
おしゃぶりや指しゃぶりの期間が長ければ長いほど悪くなるようです。4歳を超えるとより顕著に悪影響が出ると言う研究があります。
しかし、逆に長期におしゃぶりを使わなければ、(2歳くらいで、おしゃぶりをやめると)
また元に戻るようなので、自然におしゃぶり離れが済んだ場合には、改善の余地がありそうですね。
研究によると元に戻るのに2〜3年かかるようです。
変形はおしゃぶりよりも指しゃぶりの方が顕著に出るようです。
 
虫歯について
虫歯単独で考えると、おしゃぶりと虫歯の関係はないと言われています。
Pacifier use and early childhood caries: an evidence-based study of the literature.
J Can Dent Assoc. 2003;69(1):16.
歯並びが悪いと、ブラッシングでの磨き残しの頻度も増えるので、そういった2次災害的な虫歯のリスクってこともありそうですね。
 
デメリット②衛生面で気になる
 
新生児期は哺乳瓶を消毒したり、お風呂も沐浴だったり、
赤ちゃんって特別キレイにそーっと扱いましたよね。
 
その延長なのか、おしゃぶりは口からポロポロ落としやすいだとか、ホルダーでぶら下げていても、
あらゆるところと接触して不潔になりやすいとか、
衛生面が気になる人は多い気もします。
キレイなものに越したことはありませんが、
赤ちゃんって、自分でものをつかめるようになると、なんでも口に入れてデロデロにしてしまいますよね。
いろんな雑菌を舐めて免疫力を高めているとも言われますので、
そんな頃にはもちろん、哺乳瓶の消毒も不要ですし、あちこちハイハイした手をおしゃぶりしてても、
まあ、そんなもんなんです。
綺麗好きなお母さん達には堪え難い状態ですね。
 
デメリット③母乳育児に悪影響
 
母乳育児が軌道に乗るまでは、スキあらば乳房を吸わせる時期です。
この、頻回に吸う刺激とどのくらいの量を赤ちゃんが飲みとったかによって、母乳の分泌が調整されるので、
本来必要な乳頭への吸う刺激が、おしゃぶりに行ってしまうと、その分母乳の分泌が下がっってしまうリスクがあります。
母乳が軌道に乗って、十分分泌できる方は、そこでおしゃぶりを追加しても、さほど影響はありませんが、
もっともっと分泌を増やしたいお母さんには、おしゃぶりはやめといた方が無難ですね。
また、乳頭混乱という言葉があります。
母乳育児が軌道に乗る前に哺乳瓶の乳首を介して飲ませてしまうと、赤ちゃんが哺乳瓶に慣れてしまい
直接母乳を嫌がるようになります。
逆に、直接母乳のみだと、なかなか哺乳瓶から飲んでくれなくなります。これが乳頭混乱です。
哺乳瓶と乳房では母乳の供給の仕方が違いますからね
母乳がうまく飲み取れるようになる前に哺乳瓶を使うと、哺乳瓶の飲み方に慣れてしまい、
ママの乳首を吸わない→吸う刺激が伝わらない+乳房から母乳が除去されない→母乳の分泌が下がる、
という悪循環にはまってしまうわけ
そうなったら、メッチャ大変なんです。
 
デメリット④親子のふれあいが減る
      子供がどうして泣いているのか考えないで使用する
      あやすのが減る、言葉かけが減る
      発語の機会が減る
 
どうでしょうか?
個人の捉え方次第かと思いますが、私だけでしょうか。
おしゃぶりで精神安定している場合は赤ちゃんはやたら泣いたりしないかもしれません。
でも、赤ちゃんの要求はそれだけではないでしょう。
おしゃぶりが口に入っていたって、声が出ないわけではないので
言いたいことは容赦なく言いますし、
大きな声で泣きますよ。
おしゃぶり単独で短絡的にこう考えるのは、どうかなと思うわけです。
 
デメリット⑤中耳炎が増える
まあまあホントです。
ってのは、中耳炎が明らかに増えるわけではなく、中耳炎がおしゃぶりによって増えると言う研究もあるにはある、ってな程度です。
 
 
さて、最後に
吸うと言う仕草を
発達を追って考えてみましょう。
 
胎内生活〜非栄養学的吸啜の意味
70−90%の赤ちゃんは、胎内ですでに自分の指をしゃぶる行動が見られ、それは発達の正常な過程で起こることです。哺乳の練習をしているという説もありますが、どうでしょうね。そう考えるとホッコリしますよね。
例えば、まだ自分で飲むことができないくらい未熟な早産で生まれてしまった子でも、おしゃぶりはとても上手です。
その子たちは、胃にチューブを入れて、母乳やミルクを投与するのですが、その際に、おしゃぶりを併用することで、経口哺乳開始が早まるとか、うまくいくとかも言われていて、NICUで評価されていたりします。
 
新生児期〜なんでも吸い付く吸啜反射
生まれてすぐは、自分の手を意識的にうまく口まで持っていくことができません。
でも吸啜反射といって、なんでも口周りに来たものはチューチュー吸ってしまう本能があって、
偶然自分の手が口の近くにあると、吸ってしまいますね。
 
生後2~4ヶ月になると、自分の手や偶然握ってしまったものを口に持っていってしゃぶるようになります。
新生児期との違いは、偶然近くにあったものを吸うのではなくて、自ら口に持って行って吸うことです。
これは目と手の協調運動の学習や、色々な物を舐めてみて学んでいると言われています。
周囲の環境を舐めることで免疫の発達を促すとも言われてますね。
 
意思で掴む時期
もう少しすると、ちゃんと自分の意思でおもちゃをつかんだり、持ち替えたりします。
それも、なんでも口に持っていきますね。
個人差がありますが、よだれもとっても多い時期です。
よだれが多い子は虫歯になりにくいとされています。
 
1歳近くなると、ただただ口に持っていく時期は超えて、おもちゃの意味(どうやって遊ぶものなのか)がわかってきます。
そういう時期の指しゃぶりは眠い時や、なんとなく自分でやっていて落ち着くからと言われていますね。
おしゃぶりの習慣がある子はなかなかおしゃぶりが離せなくなってきます。
 
年齢が上がるとともにおしゃぶりや指しゃぶりの使用率は下がります。
長くても4−5歳と言われてますが、
おしゃぶりっ子を育てて見てと、
おしゃぶりや指しゃぶり大好きな子を外来で何人か見てると、
平均的なおしゃぶりの卒業はもう少し早く2歳代の印象です。
 
結局どうしたらいいのでしょうか?
小児科と小児歯科の保険検討委員会から、うまい推奨が出ていましたので抜粋します。
 
★発語や言葉を覚える1歳すぎになったら、常時使用しないようにおしゃぶりホルダーを外す
★遅くとも2歳半までに使用を中止するようにする
★おしゃぶりを使用している間も、声かけや一緒に遊ぶなどの子供のふれあいを大切にして、子供がしてほしいことや、したいことを満足させるように心がける。子育ての手抜きとし、便利性からだけでおしゃぶりを使用しないようにする
★おしゃぶりだけでなく、指しゃぶりも習慣づけないようにするには同じように声かけを心がける
★4歳以降になってもおしゃぶりが取れない場合は、情緒的な面を考慮してかかりつけの小児科医に相談することを勧める
 
Oral habits and orofacial development in children
2017 UpToDate
 
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